群馬県知事の怒り(ランキングについて考える)

ランキングについて、面白い記事を発見しました(コチラ 参照)。事の発端は、民間シンクタンク「ブランド総合研究所」の発表する、地域ブランド力調査の結果で、群馬県の魅力度が44位だった、ということに対し、群馬県知事の山本さんがクレームを付けた、というもの。

山本さんがクレームをつけたことよりも、この記事で指摘している「ブランド力調査の調査方法に関する3つのクレーム」が、ランキング学的には面白い。

その3つとは。

1)質問が「魅力を感じますか?」の一つしかないこと。その上で、「多角的に調査しなくてはならない」と主張している点。

2)採点が五段階で点を付けられているということ。

3)生データが公表されていないこと。

一番面白いのは、多角的に調査したら結果が変わる、と思っていることです。勿論、その可能性が無いとは言いませんが、、、主観的な順位を多数足し合わせて客観的な順位にする。この操作はの「段数」を2段にするのが、「多角的調査」ということになります。簡単に言えば、無風凧がつける「県の魅力度ランキング」は、多角的になったとしても、おそらく結果は変わりません。少しの差異はあるかもしれませんが、基本は同じ結果になります。

これは、少し違う言い方をすれば、魅力 という言葉で指す意味が人によって違うことも意味しています。それを包含する意味での「魅力」と一つの軸に集約しているので、1)のクレームはあまり効果的なクレームではありません。

二つ目の「五段階」は、、、ほとんどクレーマーレベル、です。ほとんどすべてのランキングは、「これ(例えば五段階)を認める」ことで成立しています。それを言い始めれば、入学試験の配点だって同じことです。学力を調べるにために行う試験の配点ですが、基礎問題に高配点するか応用問題に高配点するかで結果は異なります。それで合否がかわることもあります。でも、配点にクレーム付けますか?配点は、それをルールとして受けいれるしかない、と思うわけです。

などと、冷静に書いていますが、山本知事の気持ちもよく分ります。

とは言いながら。

ある意味での「炎上商法」的に群馬県の認知度を上げることができた、とほくそ笑んでいるというのが事実かもしれません。

 

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Times Higher Education Ranking Japan2021(ランキングについて考える)

英国の企業 Times Higher Education (以下THE)は、世界の大学ランキングを発表して居ます。そのTHEは、日本だけに特化したTHE Japanを2017年から発表して居て、一昨日、2021年版が発表になりました(コチラ 参照)。

一位:東北大学 
二位:東京工業大学
三位:東京大学
(以下略)

このトップ3、皆様の「直感的」なものとは違うのではないでしょうか?おそらく、、、

一位:東京大学 
二位:京都大学
三位:大阪大学(東工大、名古屋大、東京医科歯科大、東北大、、、という方もいるかもしれません)

と思っていらしゃる方が多いのではないか、、、と思います。実際、予備校が発表する難易度や志望者の人気を考えると、後者になっているようです。

この違いはどこから来るのでしょうか?無風凧の言葉で言うなら。

1) 大学のランキングは、合成ランキングである。

2) 合成ラインキングは、合成の係数に恣意性が入る。

それ以外の何物でもありません。この例からも分かるように、恣意的なランキングをもとにする、言い換えれば、客観性が乏しいランキングは信じるに値しません。

THEはもう一つ、興味深いランキングの「ツッコミどころ」を持って居ます。

THEの「世界ランキング」に於ける、日本国内の大学の順位は、

一位:東京大学 
二位:京都大学
三位:東北大学

です。恐らく、THE大学ランキングを見た方のほとんどが、「???」になるのではないでしょうか? なぜ世界ランキングと日本ランングで、順番が異なるのだろう? 日本ランキングは、世界ランキングの一部ではないのか?

これも、注目している「軸」が異なるからです。ここに恣意性が入ります。ちなみに、もっとも大きく異なる点は、「論文の被引用数」でしょう。研究成果を発表するのが論文。そして、その論文に価値があればあるほど「引用される」。これを「評価」の中に入れているのが世界ランキングで、日本ランキングはほとんど考慮して居ない。その違いが順位の差です。

このように「同じ会社」が作っているランキングですら、その作成手法が異なり、つまりは結果が異なることもあるのです。

ランキング、面白いと思いませんか?

 

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何を表しているランキングなのか?(ランキングについて考える)

「現役進学率」という言葉、皆様ご存じですか?調べてみると数年前から使われているのですが、無風凧のアンテナではとらえていませんでした、、、ランキング学者としては、忸怩たる思いです。

さて、「現役進学率」が何を意味しているかというと、、、

B大学への現役進学率 = [A高校からB大学の現役進学者数]/[A高校の一学年の生徒数]

という指標です。A高校からB大学に「何人受験したか」は関係なく、「現役で何人に進学したか」を表している。

確かに、無風凧のランキングの分類でいうなら、PR(原始的ランキング)の一種なんですが、これが高いほどよいのか?というような「意味付け」を考えると甚だ問題がある。

そもそも、B大学に受験する生徒数が少ないと、その時点でランキングが下がりますからね。

もう一つは、一般的に考えられている「現役合格率」と混同する方が多いだろうという事。現役合格率は、

B大学への現役合格率 = [A高校からB大学の現役合格者数]/[A高校のB大学への現役の受験者数]

そう、分母が異なります。

かつて。浪人を含む東大合格者数よりも、現役合格率の方が高校の実力を表していると思われていた時代があります。その意味では、現役合格率は高ければよい。低ければ悪い、というのは一目瞭然でした。上述の「現役進学率」は、その現役合格率とは「似て非なる」指標です。

最近の流行り言葉でいうなら「誰得?」の指標なのでしょうか。。。理解に苦しみます。

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日本の「子どもの幸福度」の総合順位は20位(38カ国中)

これは、unicefの「ユニセフ報告書レポートカード16、先進国の子どもの幸福度ランキング」の記事から(コチラ 参照)。

まだ詳細に読み込んでいないので脊髄反応に近いのですが、、、、

子どもの幸福度、って何でしょうか?というのは、この幸福度が、大きく「精神的幸福度」「身体的健康」「スキル」の3つの軸の合成ランキングになっているからです。

特に、身体的健康の細目の中に「肥満の子どもの割合」があり、スキルの細目中に「数学分野の学力」というのがあります。勿論、それらを「不要」というつもりはありませんがそれらが本当に示しているものは何なのか、を考えてしまいます。

ランキング制作手法の詳細が不明な中で論じても、意味がある議論にはならないのですが、「日本の子どもの精神的幸福度は下から二番目」「身体的健康は最良」という結果です。ほかの国の結果も見てみなくてはなりませんが、ここまで相関が無い理由、を無風凧は疑問視します。評価軸か評価方法に課題があったのではないか、と。

いずれにしても、ランキング研究の新しい事例が増えました。

 

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一位を目指さない意味(ランキングについて考える)

東洋経済オンラインに”「1位を目指さない企業」が先細りする根本原因””という記事が出ています(コチラ 参照)。

ランキング1位であることの魅力はよく書かれていると思います、、、が、一位を目指さない企業が先細りする、は、一行も書かれていなくて、羊頭狗肉の感じがします。

ただ。

この記事は、とてもよい「気づき」を無風凧に与えてくれました。

というのも、一位を目指さないことの善悪を、無風凧はあまり「本気」で考えていなかった。これまでのランキングセオリーでは、

1) 人は上を目指す(これが公理)

2) ただし、満足するランクがあるので、そこで打ち止めになる。

3) ランキングは1位しか記憶に残らない。

4) オンリーワンはランキング1 

などは論じています。しかし、「2位が一位を目指さないことの意義」は論じていないのです。少し真面目に考えてみよう、と思いました。

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平等は皆無と心得よ(ランキングインついて考える)

今日のYahooで、面白い記事を発見しました。

「早生まれの不利は大人まで続く」 (元記事は コチラ

小学校1年生で考えれば、3月生まれと4月生まれは約一年違いますから、相当な差です。それが一生付きまとう、というのが上記記事の内容です。これは、無風凧の経験的にも、ある程度首肯できる内容です(とはいえ、4/1生まれの才女や3/29生まれの天才も知っているのですが)。

さて。この手の記事が出ると、「教育は平等でなくてはならない」というタイプの所謂「平等論者」が跋扈します。たしかに、年度の始まりが4月というのは、人間が勝手に決めたルールなのですから、改善の余地はあるでしょう。

では、その平等論者たちにお尋ねします。「平等」とは何を指しているのですか?

生まれた日から小学校に上がる日までの日数が一緒なら平等ですか?ということは、365日、入学式があり、入学者が同じ誕生日ならば平等だといいうなら、、、学校に通うまでの時間はどうですか?片道5分の人と1時間の人は不平等ですよね?全寮制にしたところで、階が違う、風呂に入る時間が違う、、、、色々なところに、不平等は存在します。恐らく、小学校は、家から近い人の方が成績が良かった、などという統計結果が出てくることでしょう。大食漢と小食の人に同じ量の食事を出して、平等でしょうか?満足度は?

更には。例えばアレルギーでエビを食べることができない人がいますが、給食でこの人にエビを出すことは平等ですか?それとも不平等ですか?

無風凧の主張は。

究極の平等は存在しません。社会のコンセンサスで、「どこまでを許容するか」を明示することです。そして、、、とても残念なことなのですが、生まれたときに受け入れざるを得ない「不平等」についてはあきらめるしかないと思うのです。そのコンセンサスをどうとっていくか、、、それが政治の仕事だと思っています。

 

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今夏の高校野球(ランキングについて考える)

甲子園で、高校生の熱戦が続いています。COVID 19の影響で春の選抜が開催されなかったため、その代表校が記念に一試合づつ行う、と言うもの。

高校生はやはり頑張っていますし、関係者のご苦労も忍ばれるのですが、今一つ盛り上がっていない。何故だろう?ランキング理論的には、当たり前、かもしれません。

ゲームは勝つこと、そして、優勝することが目的。教育の一環の高校野球ではありますが、ゲームです。選手も応援団も地元も「優勝」が目標。

しかるに今回は、買っても負けても一試合のみ。おらが町の代表は、日本一にはならない。加えると、普段なら負けたチームは勝ったチームを応援すると言う連鎖が有りますが、今回はそれもない。

結果的に、ランキング理論で言う「人は上位を目指す」と言うシステムが設定されていないので甲子園が盛り上がらない、と結論できます。

とは言え。選手の皆さんの渾身のプレーは一期一会。皆さま、応援宜しくお願いします。

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将棋の「Rating」と「順位戦のクラス相関」(ランキングについて考える)

藤井聡太七段が、最年少でタイトル挑戦することになりました。藤井七段の健闘に拍手です。

この記事をみて(こちら 参照)、ちょっと面白い言葉を発見したので、ランキング理論の派生として、ちょっと調べてみた、というのが今日の内容です。こちら にある、「藤井七段と永瀬二冠は、非公式ながら現在の棋力を示すと言われるレーティングで藤井七段が1位、永瀬二冠が3位という状況。」という記述。

一般的な感覚だと、名人が一番強くて、A級が2番目、B1、B2、、、の順番に弱くなっていく。理想的には各順位戦クラスの中での順位が、実力を表している、と考えたくなります、、、が、実際はそうではないことも、将棋ファンならだれでも知っていること。では、Ratingと順位の間にはどのような相関があるのか、を調べてみました。なお、Ratingは、こちら を引用させていただきました。

Ratingshogi2020 まず左図。各クラスに居る棋士が、Ratingのランキングで何位に居るか、を示したもの。一番左にいるのは、B2の藤井七段。永瀬二冠はB1の一番左にいる、というように読みます。C2のTopである佐々木五段は、C1トップの石井五段より、Ratingの順位は上です。こうしてみると、やはりA級はRatingのランキングでも上位に集まっていることが分かります。そして、下のクラスに行くほど、ばらつきが大きくなります。

Rating2 では、少し違った統計処理をしてみましょう。それが右図です。これは、横軸にRating順位、縦軸に、各クラスの統計量を表示しています。点は、左からA級、B1,B2,C1,C2の順番です。青はクラス所属者の平均Rating順位、オレンジは、中央値の人のRating順位、そしてグレイは、「そのクラスにいることで期待される順位の平均」です。例えば、B1は、12番目から24番目の実力者だと期待しますから、期待される順位の平均は18位、という手法で計算したものです。なお、青は、所属する全員の平均をとってますが、上下1割を切っても2割を切っても、あまり影響はありません。

グレイに対して、上に来ているのは、期待されている順位よりも実力が低い場合。グレイよりも下なら期待順位よりも実力が上(頑張っている)というように読むことができます。

注目すべきは2点。
1. B2からC2は、Rating視点で見れば、ほとんど実力差がないこと。
2. 上述の言い換えだが、実力以上に頑張っているのは、C2クラスだけ。

この結果は、将棋ファンなら、だれでも想定されたものではないでしょうか?今の順位戦のクラスは、上り難く下がり難い。昇級も難しいけど、一度上がるとなかなか下がらない、という順位戦のシステムがうむ、当然の帰結だと思うのです。

それでも。A級とB1級は、断然頑張っているな、と思います、、、というか。これも降級システムの結果でしょう。下位の二名は必ず降級する。これが、質を保っているのだと思います。そして、B2以下は、降級点制度です。これだと、降級が遅い、ということがこのグラフからわかります。

そして。ここに出てきていない、もう一つの問題があります。それは、Ratingが正だとした場合に、順位戦の昇級システムは「遅い」ということです。藤井七段のB2もそうですが、佐々木五段のC2は、もっと罪深いように思いまうす。すでにA級になってなくてはならない棋士、、、だと思うのです。

今日は、将棋をネタにちょっとだけランキングについて考えてみました。

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PageRank(ランキングについて考える)

いつか一度書かなくては、と思いながら、ずっと忘れてました、、、(^.^;; PageRankに代表されるGoogleのランキングです。SEOという言葉は、Google検索で1ページ目に載るようにすることが目的ですから、ある意味では本道中の本道です。

Googleで言葉を検索した時、掲載される順番もランキングです。これは、どんなランキングでしょうか?

原始的ランキングでしょうか?それとも社会的?

決定するためのアルゴリズムが変化しない限りにおいて、評価軸は事前に決められていることになります。その意味では原始的ランキングに見えます。でも、ランキングは簡単に言えば人気順であることも間違いありません。その意味では、主観の集合が客観化されるという「社会的ランキング」の性質を兼ね備えています。更に面倒臭いことは、正当な評価ではなくアルゴリズムに対する工夫で検索結果1ページ目に載る方法に対抗するため、アルゴリズムを時々変えます、、、そう考えると、アルゴリズムの決定が恣意的でもあります。人為的ランキング、になります、、、

上述のような議論をするまでもなく、合成ランキングだ、と思っているアナタ、ちょっと待ってください。合成するのは、複数の評価軸の結果の合成です。一つのアルゴリズムの結果は一つの軸ですから、合成とはちょっといいづらい面があるのです。

では。改めてPageRankをはじめとするGoogleランキングは、どの分類になるのでしょうか?

ランキングの分類を始めた時に、実はPageRankをはじめとするGoogleランキングだけは、グーグルランキング(GR)として別枠で扱おうかと思っていた時期もあるのですが、熟考の上「人為的ランキング」に分類できると考えました。

人為的ランキングは、軸が事後に決められ、評価軸は一つであり、ランキングを決めるのは決める人の主観です。グーグルのランキングは、アルゴリズムが変化しない限り軸は事前に決められているのですが、アルゴリズム自身の正当性は、上述のように恣意的に決められます。つまり、同じデータを使っても、アルゴリズムの違いによって結果が異なるのは、アルゴリズム選定での恣意性が指摘出来ます。

そのように考えて、人為的ランキングに分類しました。

 

 

 

 

 

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Amazonランキングの謎を解く(ランキングについて考える)

ランキング研究を始めて約5年。この本を知らなかったのは、痛恨の極みです。

「Amazonランキングの謎を解く:確率的な順位付けが教える売上の構造」(コチラ 参照)。

2011年に出版されていたのに、10年近くも無風凧のアンテナに掛かっていませんでした(服部先生の他の著書は幾つか読んでいるので、知らなかった事は本当に悔しい)。

Amazonの売上ランキングの「算出方法」は、無風凧の知る限り公表されていません。この本の主張では、少なくともロングテール側(つまりあまり売れない程度の本)の順位は、「最後に売れた時間の新しい順」というモデルで説明できるということです。

ランキングの手法(作成方法)として、この様な方法ががあることは知っていますが、なかなかその「証明」は大変です、、、なので、それを発見したことは、ランキング研究の無風凧の立場ではすごい事です!

もっとも、この本自身は、Amazonのランキング手法(確率ランキングモデルと命名している)を解明することに加えて、それを構成するための「数学の教科書」の位置づけが大きいようです。

「ランキング」自身を研究する立場では、ロングテール側ではなく、上位側のランキング手法を是非調べて欲しいな、と思っています。

なお。

この本がもう一つ主張している「Amazonはロングテールビジネスではない」に関しては、喝采です。

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