黄金株

日鉄のUSスティール完全子会社化の記事を読むと「黄金株」という言葉が出てきます。この「黄金株」という言葉、会社法などで出てくる所謂「法律用語ではない」ので、どんなものか、興味津々でした。

発表された内容は、
「名前を変えない」「USからの国外への持ち出しが出来ない」「US内工場の休業・閉鎖もできない」、、、というもの。これだと、黄金を越えて「ダイヤモンド株」という感じがするのは、無風凧だけではないでしょう。

つまり、少数株主が、「株数以上にモノを言う」という形に落ち着きました。株式会社の在り方の「根源を否定する」株式の存在は、今後、色々な場面で禍根を残すような予感がします。

それより、よくこの条件で日鉄は完全子会社化を進めたなあ、、、というのが率直な感想。上記の条件は、「アメリカ国内の鉄生産が最優先で、日本その他の利益をアメリカにつぎ込め」と言っているのと同等。少なくとも、日鉄の経営状態が悪化したときには、アメリカ国内の工場だけが生き残る仕組みになっています。

ということは。今後、アメリカの会社を子会社化するときには同等の「黄金株条件」が付随するということが考えられます。結果として、US企業の買収は無くなり、US国内の産業がつぶれていく。その後はアメリカの国力の減衰、、、というのも、一つの想定される将来です。

資本主義の根本を揺るがす、この黄金株。アメリカの為には「作らない方が良かった」ということになるのでないか、と今から心配しています。

 

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転売ヤーと経済学

ニンテンドーのSwitch2がリリースされました。その第一陣の人気の高さ・売れ行きは素晴らしい物で、またぞろ「転売ヤー」が出現しました。

転売ヤー、即ち、転売することを目的に商品を購入し、購入価格より高値(=店舗や生産側の設定価格より高額)で販売する方々です。

この転売ヤーの是非は、昔から問われていますが、今回、ホリエモンが存在を肯定する発言をして、炎上しました。

さて。

転売ヤーの存在で、無風凧が一番(?)問題視するのは、経済学の「授業・講義」です。今でも、十年一日がごとく、「均衡価格」「見えざる手」を講義していますが、転売ヤーの存在は、それらを否定しています。D.コースのコスト理論を越えた領域での「価格」が受け入れられているというのが、民主主義経済社会の現状です。

つまり、理論と現実には、乖離があるわけです。にもかかわらず、乖離があるままの経済理論で授業・講義がなされ、実際の社会でも大半の方がその信奉者、、、大問題だと思いませんか?

これを解決する手段(=理論+社会実装)ができれば、ノーベルもびっくりの「大ノーベル賞」になること、間違いない。

補足: 短期的な実現のための理論は無風凧でも構築できます。でも、この理論は、長期(=未来永劫)正しいわけではなく、どこかでカタストロフを起こします。また、実装は価格の考え方を根本から変える必要があるので、皆様に受け入れられるか、、、きっと、受け入れられないだろうな、というペシミスティックな予想をしています。

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就職率

少子化が進み、私立大学では定員未達が60%ほどになりました。文科省と財務省は、大学の教育内容について「義務教育を大学で行うのか(財務省)」「それも新しい気づきの一環だ(文科省)」と論争していますが、実態として学生のレベルが(特に定員未達大学では)下がっていることは、無風凧の肌感覚でも首肯できます。

さて。

そのような「定員未達大学(一般的には、FランとかBFとか呼ばれることが多い)」大学は、こぞって「就職率」を看板にします。つまり、

「我が校にくれば、就職は安泰です」ということをアピールポイントにしたいことの現れです。

確かに、この10年ちょっとで、大学卒の「就職率」は、飛躍的にあがっており、「進学も正規雇用もしない」卒業生は11%(全国平均)ということだそうです。一昔前は20%の時代もあったわけですから、如何に「就職」に力を入れているかがわかります。

因果関係があるわけではありませんが、就職率が上がるほど、日本のGDPをはじめとした経済指標は悪くなっているような気がします。少なくとも、「既存の評価軸」で見る限り、国際競争力も下がっている。

無風凧が考えるに、理由は2つあります。(つまり、因果を説明する仮説が2つ、ということです)

1つは、就職率、を追うあまりに、多様性がなくなってしまったこと。いつの時代も、革新的な発展は、平均近傍からは出てきません。

2つ目は、国民全体に経済的な余裕がなくなっていることです。アルバイトでもよいから仕事をしないと食べていけない。食べるために仕事をするのは国民の三大義務の1つ「勤労の義務」でもあるわけですが、余裕がない生活から新しい発想=革新のタネ、は生まれません。貧すれば鈍す、です。

このように考えると。

就職率を「上げる」事の是非を、今一度「国として」考える必要があるのではないか、と無風凧は考えるているわけです。

皆さんはどう思われますか?

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日本学術会議法案

Academicの世界に住む方にとっては、歴史的な日になったのではないでしょうか。2025年6月11日、日本学術会議法案が可決されました(コチラ など参照)。

この法案がなぜ「歴史的か?」というと。

学術会議が「政府の一機関」となると同時に「政府の意向を反映した研究のみ」が研究として認められる可能性を内蔵した法案だからです。2020年に菅さんが会員候補6人を任命拒否しましたが、今回の可決は、その説明すら満足にされていない中での強硬採血でした。

まず。無風凧も、政治と科学は切り離さなくてはならない部分がある、と考えています。

というより、自然の偉大な力には人智は及ばない。まず、科学的な事実が厳然として存在し、その範囲のなかでしか人は生きることはできません。政治は、自然科学のルールを無視することはできないわけです。。。が。

今回の学術会議法案は、自然科学のルールより人間様のご都合を優先させる、可能性を秘めた法案です。

つぎに。憲法において認められている、思想の自由を阻害する可能性が高い。これは既に上述の「人智」の部分ではありますが、自分たちが決めた「憲法」と矛盾した法案である、と断言できるます。

さらには。税金を使っての研究であるから、国民に対する説明責任がある、という政府の立場は理解できますが、それは「国民の主張」の概念を「政府」が決めている、ことに他なりません。どの研究に足しても、賛否両論がある。その多数決で総ての研究が決められるなら、科学の発展が無いことは、歴史が証明しています。

という意味で、学術会議法案は、アカデミアの住人にとっては受け入れがたい物でしょう。

しかす。

ここからがさらに重要ですが。

学術会議自体が、「過去の業績に縛られた団体」であることも付け加えておかなくては平等ではないでしょう。

学術会議のメンバーを見ればわかりますが、新しい考え・新しい科学に対して、それを受け入れていくには聊かお年を召されている方が多い。その方々のこれまでの功績を蔑ろにする意図は全くありませんが、進取の精神に欠けている方がいらっしゃることは、残念ながら事実です。これは、ある意味仕方がない事ではありますし、統計学的には、大数の法則、の応用で証明(?)できることです。

言い換えれば。学術会議も、現在その下に存在している各種団体に対しては「学術会議法案」と同じ施策をとっている、ということです。これを書いておかなくては、単なる「国会避難」で終わってい仕舞います。

どこが「本来の停留点」であるかは、人それぞれに異なるかもしれません。でも、学問の自由、の名のもとの「不自由さの強制」は許されないと無風凧は考えています。

 

 

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ホーソン実験をいま、行ったら。

組織論の研究の中で、最も有名な実験の一つ、ホーソン実験。メイヨーらがホーソン工場で行ったこの実験は、人間関係の重要さや内的動機(意識)の重要さを論証しました。

ただ。

無風凧は、先日から思うのですが、労働者の労働意識は元より、人間関係を含む社会環境も変わった今、同じ結果になるのでしょうか?

ということで、ネット記事(学術的な意味ではEvidenceや引用として不適切)を中心に、社会学の論文(これは学術的に引用可能)なども参照して考えてみました。

恐らく。

異なった結論が導かれるのではないかな、といまは思っています。

少なくとも、メイヨーらが結論した

「注目されることによる業務効率の向上(人間関係の一部)」

は、成立しない。注目されることを、「負のファクター」として扱った方が良いように思います。勿論、「総体として」であり、個人によってはちゅうもくされることによりやる気が出る人も少なからずいるとは思うのですが。

思考実験を重ねて、上の結論を得た今、時代は確実に変わっているな、と実感しています。

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図書館にて

日曜日。公共図書館で目にした光景。

多動症っぽい子が、本を読んでいる。本人は黙読しているつもりのようだが、声が出ている。図書館職員が「声を出さないように」と注意し、本人もそのつもりのようだけど、やっぱり声が出ている。

「サンデル先生の白熱教室」ではないですが、これは非常に難しい問題だと無風凧は思います。

図書館は静かにするもの、というのは、コンセンサスが取れていることでしょうし、図書館の注意書きにも大概「静かに本を読みましょう」と書いてある。

その意味では、音読がNGになるのは当然と言えば当然。でも、上記の子の場合は、ワザと声を出しているのではない。ある意味では病気で自分のコントロールできる意識の*外*で声が出ている。憲法に謳う「法の下の平等」を考えれば、この子にも本を読む権利がある。さあ、どうすれば良い?

かつて、

無風凧が聴きに行ったクラシックの演奏会で、やはり感動した子が「素晴らし演奏だ」と、会場内の逢う人逢う人に話しかけ、警備員の連れ出されたことがありましたが、その子も、やはり多動症のようで、自分の感情を抑えきれない。でも、その子が「音楽を聴く機会」を奪ってよいのか、と言われると、おそらく大多数の方は、NOと答えるでしょう。

多勢に無勢、ではないですが、ルールは最大多数の最大幸福、になるように決められています。法律も、無風凧の知る限りは、最大多数の最大幸福の原理、つまり多数決原理で決められています。その場合、少数意見は無視されてしまします。

上述の二人の子の「感動」「向学心」を助けるために、私たちは何ができるでしょうか。21世紀最大の難問の1つです。

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河合塾のスト

面白い記事が飛び込んできました。河合塾の講師が、ストを行った、というものです(コチラ など参照)。

予備校業界も、大学の非常勤講師も、同じような話が続いているなあ、、、というのが無風凧の感想ですが、「スト」まで行くと、あっぱれ!という感じがします。

教育・学校業界は、サービス産業化している、というのが背景にあるのでしょう。その上で、時給換算の「労働者」になっている。ある意味でのエッセンシャル・ワーカー化だと言っても、当たらずとも遠からず。

こうなってくると、学校経営者にしてみれば、「客寄せパンダ」的なインフルエンサー教員以外は、時間(講義コマ)を埋めてくれればそれで充分のワーカーです。だから、できるだけ「安価に買いたたく」ことになります。

例えば、10人のクラスの講義でも、400人クラスの講義でも、コマ単価は変わらない。予備校業界は、採点や単位認定という業務がありませんから、人数の違いはその場集中力等の違い(多い人数の前で話すのは、それなりに集中力、スキル、慣れ、などが必要)で、外からみた時間は変わりません。講義準備時間を入れて、最低時給を下回ることは、多分ない、というレベルでしょうか。

大学の教員は、試験や単位認定がありますが、このような「講義外」の業務に対価は支払われないことが多いですから、結局大教室でやると「時間単価」も下がってしまう勘定になります。それも、「労働組合」が無いので、交渉の余地すらない、というのが実情のようです。友人の非常勤講師の場合、完全に最低時給を下回っている、と愚痴をいつも聞かされています。

その上、「人質司法」ではないですが、「学生(教え子)の不利益は避ける」という教員の本能を利用して、「学生人質」的な経営がまかり通っています。なんだかなあ、、、、と思います。

そのような背景で、河合塾の講師がストを行う事が出来たのは、ある意味で「恵まれている」というのも本音。大学非常勤や理研の雇止めに比べれば、まだ「手が打てる」だけ、恵まれているな、と思うのです。

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今日は何の日?

今日は5月6日。カレンダー上は休日です。何の日であるか、皆様ご存知ですか?

そう、「振替休日」なのです。5月4日みどりの日が日曜日だったので、その振替休日。

整理してみると、

4月29日(火)昭和の日
5月3日(土)憲法祈念日
5月4日(日)みどりの日
5月5日(月)こどもの日
5月6日(火)振替休日

となります。

ここで昭和の日を日、月、火、水、木、金、土と変えてその後の旗日を計算すると(週休二日を前提)。

4月29日が
・日曜の場合、その振替休日が30日月曜日で、1,2出勤日、3~6が連休。
・月曜の場合、4月27~29が連休、4月30日、五月1,2日が出勤日、3~6が連休。
・火曜の場合は今年と同じ。火曜日が二週続けて休みになる。
・水曜の場合、4月30日、5月1日が出勤、5月2日土曜日~5月6日水曜日(建国記念日が日曜なので水曜日が振替)。水曜日が二週続けて休みになる。
・木曜の場合、4月30日出勤、五月1日土曜日~5日水曜日まで連休。
・金曜の場合、4月29日から5月1日が連休、2日月曜が出勤、3日~5日が連休。
・土曜の場合、五月1、2日が出勤日、3日~7日が連休。

剰余の計算(数学系の皆さん、出番ですよ!)をするまでもなく、火曜と水曜の場合は、学校関係者(特に大学教員)にとってはちょっと大変になります。というのも、同じ曜日が2週続けて休みになりますから。

休日が増えることは国民総体としては「受け入れられる」方向だとは承知していますが、それが故に「苦労する少数」が居ることも理解してほしいな、と思います。

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図書館の仕事

今日の記事は、

「よっぽどなんだろうな」市の図書館、窓口業務の停滞をお詫び→返却図書は戻せず、予約本も長期間渡せない状態(コチラ参照)

を読んだことがキッカケです。決して、上記記事中の図書館のことを非難する記事ではないことを予め申し上げます。

。。。

最初に、主張を申し上げますが、「外部委託をやめ、内製化(正規職員での対応)をした方が、User利便性が上がり、トータルのコストも下がる」という主張です。

無風凧は、某図書館の「管理システム」を、責任者として入れ替え、その後の管理をマネジメントしたことがあります。たかだか20万冊(図書館としては決して大きい方ではない)のシステム入れ替えですが、大仕事でした。この際に感じたことが今回の主張の根拠です。

1.まず、最大の違いは、User視点で、今(2025年)時点で、「蔵書の検索」と「現物の探し出し」は別の作業であり、前者は業務委託が有利(システムに慣れている)ですが後者(実際の本の場所)は勤続年数依存すなわち正規職員の方が潤滑な作業が可能です。

貸し出しのための探し出しのみならず、返却された本を「正しい位置に戻す」ための作業も含みますから、場所を探し出す僅かな時間差は、冊数が増えると膨大になります。よって、正規職員で勤続年数が長い人の方が効率的な作業ができます。

2.業務の分断化、即ち業務分掌が委託と正規とで異なります。決済が絡むような依頼が入ったり、専門性を必要とする内容の場合は、委託職員では対応できないことになります。結局、正規職員だより、になってしまいます。

3.これは、無風凧が困難に遭遇したわけではないですが、図書館の責任者は正規職員で統括、一般職員は委託ということになると、法律を的確に準用すると直接の業務指示を行う事が出来ません。その為、一つひとつの意思決定に非常に時間がかかります。例えば、業務分掌や業務プロセスの変更なども、委託の場合は週単位で時間がかかります。繁忙期などで人手が足りない場合の柔軟な対応が出来なくなります。

4.最後に、図書館司書が、非常勤の委託として入ってくる場合、ある意味で「専門性の逆転現象」が起きます。この場合、例えば司書の方の「能力の一部」しか使わないことになりますが、結果として色々な不満(?)が溜まっていくことになります。これは、組織管理の観点からは明らかに損です。

などなどの理由から。

図書館は、正規職員による運営が望まれると考えます。

記事(エビデンス)を探し出すことが出来ませんでしたが、いま、司書の方の時給が問題になっています。せっかく司書の資格を持っていても、司書としての仕事・対価を貰える場合は非常に少なく、一般事務職員と同等の「アルバイト生活」が多いと聞いています。このような方を正規職員として雇用することは、三方一両得な経営方針だと上記より結論します。

上述の「大阪中央図書館」のみならず、日本中の図書館を運営する方は、是非ご一考ください。

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SkypeからTeamsへ、マイクロソフトの戦略。

五月から、Skypeのサービスが終了します。(と書いている今現在は、使えているのですが。(笑))

Microsoftが、Teamsに統合するための施策の一つですね。Skypeの画面に、「Teamsに移行」のメッセージが毎回出てきて、少々うざったいなあ、と感じます。

と書いてはいますが、実は無風凧はTeamsの移行を終了しています。その上で、幾つかの不満点。

1) 最大の不満は、サービスの劣化です。少なくとも、無料版のTeamsは、テレビ電話の機能は使えない。

2) PC上では、Web版しか使えないようです(他にTeamsのアカウントを持っているためでしょうか)。

3)その為か、毎回Web読み込みに時間がかかります。所謂有料サービスの「Teams」に比べると、使い勝手は相当悪い。

所属組織のアカウントとのQuantamination(汚染、取り間違え)を避けるために、組織アカウントにPrivateのTemasアカウントを結合させたくないと考えています。きっと、Microsoftは、個人アカウントと組織アカウントを結合させたいのでしょう、その方が、色々な意味で情報収集ができますから。

このようにして、知らず知らずのうちに個人情報って吸い取られていくのだなあ、、、と諦観の日々です。

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