2022年行政書士試験、問45(記述の2つ目)へのコメント
無風凧は、法律の専門家ではありません。が。門前の小僧ということで、時々、井戸端会議レベルでコメントを求められることがあります。
先日行われた行政書士試験の問45について、ちょっと話題になったので、今日はその話。というのも、大手予備校の解答が論点ずれを起こしていて、受験生が「間違えた」と思って苦しんでいるのではないかな、と思ったから。(とはいえ、無風凧は絶対の自信があるわけではありません)
問題概要などは、とあるさんのYoutube ほか、ご覧ください。(とあるさんのyoutubeは コチラ)。
大手予備校による解答例は、
1) Bの行った無権代理の追認を拒絶
2) Aが拒否しても信義則に反しない
3) だから、Cの要求をが拒否できる。
というのが、基本形。KeyWordsとして、無権代理、追認拒否、信義則というもの。
無風凧は、問題を無権代理と夫婦間相続との問題と読み解き、
あ)Bの生前に無権代理の追認をしてないこと、
い)日常家事代理に代表される夫婦間の責任範囲の外
う)よってAは要求拒否できる
という回答を第一案とします。予備校と無風凧案の一番の違いは、2)と い) ですね。信義則でつっぱねるか、日常家事代理ではないから責任の外である、とするか。
そもそも、信義則というのは、倫理的な理想像 を指している言葉です。最高裁S48年7月3日の判決を準用すると、この問題の場合は、Cの権利を守ることが倫理的な理想像を指していると考えられます。信義則を用いた結果が、Cの不利益になるような判決はありえない、というのが主張です。
(個人的には、信義則という言葉を安易に使わないようにするために、法律や判例があり、判決自由や試験の解答には「信義則」が出てくるべきではない、とまで考えています)
さらに。実は1)でいう「追認拒絶」というのも、Keywordとしては、受け入れにくい言葉だと感じます。つまり、Bの死亡前に「追認しているかいないか」という事実が必要であり、B死亡後についての「拒絶」は「可能か否か」を問うことになります。B死亡以前に追認していたら、そもそも論としてCの要求を拒絶できないわけですから、条件としては、「追認していない状態」であることが必要なのだという論です。
さて。もう一つ論じなければいけないのは、BとCが契約をしているときに「契約の相続」。
S48年7月3日の最高裁判決では、債務に関しては無権代理の拒絶はできない、と結論していますが、これは親子の場合です。この問題は「夫婦」ですから、前述のように「日常家事代理」という責任範囲が示されていますから、いま、拒絶をすることは可能です。
少しくどくなりましたが、結論は同じですが、必要となる論理はかなり違いますし、準拠する判例も異なります。大手予備校の先生方、如何でしょうか?
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