音楽教室の著作権料問題
一昨日、最高裁でJASRAC vs 音楽教室の「著作権料問題」の判決が下りました(コチラ など参照)。
判決要旨は、「音楽教室における生徒は著作権料を払わない、教師は支払う」ということです。
この判決は、ちまたで言われているよりも、「音楽教室側の負け」です。というのも、
1)「著作権料(割合)」を高くすると、結果として受講料が高くなり、生徒側が支払うようになる。
2) どの曲を練習しているかで、教室の受講料を変えることはできないだろうから、結果として一律の値上げになる。
3) JASRACは、包括で受け取るから、結果として濡れ手に粟。
いま、JASRACは「負けた風」を装っていますが、実際は高笑いではないでしょうか?
さて。音楽教室での「レッスン」における著作権および著作料は、どのようにあるべきでしょうか?最高裁判決が出た後ですが、改めて考えてみましょう。
まず、著作権法22条。ここでの問題は「公衆に聴かせることを目的として」という部分です。音楽教室の講師が生徒に対して演奏する場合、
1)生徒が公衆にあたるか
2)そもそも聴かせることが目的か
という二点を問いたい。公衆という場合に、1対1で成立するのか。そして、講師は「聴かせることを目的としているのか」。
月曜日の最高裁判決は、一人であっても公衆という判断をしたのでしょうし、演奏は「聴かせることを目的としている」と判断したのでしょう。しかし、無風凧的には、「公」が入った時点で、一人相手というのは日本語として合点がいかないし、講師は「弾かせる」ことを目的に演奏していて「聴かせる」ことを目的としていない。「弾けるようにするために」演奏する場合と「聴かせるために演奏する場合」では、心持が違います。そのあたりを考えても、22条から言えば、著作権料支払いの対象にならないと考えるのです。
別視点で。音楽教室で演奏されることの「広告効果」。究極の「ロングテール」です。楽譜の売上は言うに及ばず、Youtube等での再生をはじめとしたある意味の著作権料収入。加えて、音楽に接する時間がふえるということは、可処分時間の中および可処分所得の中で音楽の存在がおおきくなるということで、音楽文化の発展につながります。風が吹けば桶屋が儲かる式だと思う方もいらっしゃると思いますが、目先の1%の収入でどれだけの機会損失をしているか。この点を考えても、音楽教室での著作権料徴収は否定されます。
とはいえ。最高裁判決は絶対です。今後、法律が変わらない限り、今回の判決に従って著作権料を支払うことになっていきます、、、残念。
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