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尼崎USB事故

尼崎で、市民の個人情報が入ったUSBメモリーが紛失した事故。最終的に見つかりましたが、なかなか収束しません(コチラ など参照)。

今日は、この事故を事例に「業務委託」のねじれについて私論を展開します。

この事故は、尼崎市が作業を委託した企業の USB 紛失事故です。紛失自身は、ナチュラルリスク(以下NR)を考えると、どんなに厳密に管理したところで防ぎようがありません。(もっとも、今の時代、USB の持ち歩きが良いかどうかについては異論がありますが。とはいえ、セキュリティに守られたクラウド上に置いたとしても、NR がなくなっているわけではありません。)

問題は、USB の紛失責任がどこにあるのかということです。というのも、尼崎市から受託した企業は、再委託をしていたからです。再委託を受けた企業を尼崎市に報告していなかった、という点も問題視されています。この場合、紛失責任はどこにあるのでしょうか。

尼崎市にとってみれば、委託した先の企業の紛失だから、第一義としては一次請けの企業が責任を果たすべきと考えるでしょう。一次請けの企業はもしかすると二次受けに責任を転嫁するかもしれません。とする二次受けの企業は、雇っていた契約社員に全部の責任を押し付けるでしょう。

このように考えると、最終的には過ちを犯した人に全部の責任が負わされることになります。(余談ですが、これって、刑法における実行犯主義と全く同じ構造になっていますね。)現実的に考えれば、末端に行けば行くほど、金銭的な補償能力は低くなります。結局、何の補償も行われないという結末を迎えてもおかしくありません。

少し話は飛びますが、大臣が不祥事を起こしたさい、総理に任命責任を問う、ということがあります。個人的な行動や、不注意な発言ですら総理大臣の進退に関わります。

知床の遊覧船事件。これに対して国の責任を問う声も大きいですが、結果としてどうなるでしょうか。認可を与えた時点で、色々な決まりがが遵守されているかどうかの検査は、どこの責任で行うのか、が論点です。(個人的には国の責任だろうと思っていますが)

これは、USB メモリの責任問題と全く逆の思考ですね。

元に戻ってUSB の話。本来、業務委託をせずに尼崎市の内部で業務が完結するのが原則である、ということに異論がある人は少ないでしょう。最も、経営に長けている人にしてみれば「人的時間的能力とコストの関係」から、業務委託に賛成する人もいるかもしれませんが、原則論としては内部完結というのが原則です。

その視点に立ってみると、業務委託をするという判断をした時点で、責任は尼崎市にあった、と考えることができます。少なくとも、自分達は知らなかったと被害者面するのはお門違いだと無風凧は考えます。

法人や組織は、一人の人だなしえないことを集団で行うためにあるものです。成し得ることと大きくなる反面、様々なリスクが生じます。そのリスクは、その法人や組織が負う、というのが正しい姿だと、無風凧は主張します。

 

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