2022年、正月に思う
2022年の年頭、少しまじめに人類のことを考えてみます。
広い意味での「AI(人工知能)」が話題の中心です。AI技術の進歩で、色々なことが出来るようになってきました。一番分かり易い例は、将棋はもうほとんどの人がAIには勝てません。ここで大切なことは、人間の思考を教師とする教師あり学習ではなく、既に、教師無し学習で将棋は強くなっている、ということです。言い換えれば、人間の生み出した「AI」という化け物は、将棋というルールの上で、思考力の点で人類を超えたわけです。
第零法則を加えたロボット三原則では、ロボット(ここでは広義のAIと解釈しましょう)は、人類に対して「絶対にマイナスにならない」ことを定義しようとしています。しかし「判断」が入った瞬間に「矛盾(齟齬)」が生じます。一番良い例が、ロボット原則の1条と0条でしょう。つまり、全体しての人類と、個人としての人の判断が、「異なる」ことがありうる。AIが、常に人類と判断することにした場合、それは個人の人としての判断とは異なる。これは、例えば、人間の判断だけでも起きうる話で、サンデル先生の白熱教室のネタは「個人と全体のどちらを選ぶか」です。
ここで、もう一つ思い出してほしいことは、恐竜やサーベルタイガーの絶滅理由。これまでの動物の幾許かは、それぞれの「特徴=利点」が行き過ぎたがゆえに滅びるという運命をたどっています。恐竜は体が大きくなりすぎたために、食料確保に難が生じ、また運動が緩慢になった為に災害から逃れられなくなった。サーベルタイガーはもっと顕著で、伸びすぎた角が自分の体に食い込む、という信じられないような結果を導いています。
人類は。
人工知能(AI)という究極の「利点」を持つことが出来るようになりました。人が考えなくてもコンピュータが考えてくれる。パターン認識は既に人間では勝てません。推論の速度もしかり。サーベルタイガーでいうなら、伸びすぎた角を持ったわけです。これから先、まだしばらくはその恩恵に浸ることが出来るかもしれませんが、その先は、、、今はまだ予想もされないような手段で、AIが進化しすぎて人類を滅亡に追いやるのではないか、考えます。
このように考えると、人類の先行きは暗いなあ、、、と思わざるを得ません。決して懐旧主義ではありませんが、手の届く範囲の生活、で満足する自分を、人類全体として早く取り戻してほしいものです。
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