COVID-19: 緊急事態宣言の効果(付:8割減で良いのか?)
昨日は東京はじめ7都府県に緊急事態宣言が出て今日で二度目、そして範囲が全国に広がって初めての日曜日でした。新宿や渋谷などは80%以上人が少なかったそうですが、吉祥寺をはじめとしていつもより人出が多い街もあったそうです。、、、
話を東京に絞って、この2週間、緊急事態宣言の効果はあったのでしょうか?昨日までの累積感染者数のグラフが右です(出典は Bloomberg)。3月末から4月10日頃にかけて指数関数的に伸びているのが、4/13辺りで若干だけ鈍化して線形増加になっているようにも見えますが、、、線形になっているのだとすれば、西浦先生の計算方法でいえば、60%程度の接触になったとも言えるのですが、どのように見えますか?いずれにせよ期待ほどの効果はなかったと言えそうです。
人との接触を8割減らしましょう!と西浦先生は言ってましたが、少なくとも、現時点では、人の接触はほとんど減っていない、ということもわかります。
このままだと、西浦先生が予想する「42万人犠牲者」になるでしょうね、、、、残念。
と言ったところで、8割減で本当に良いか?
ネットワーク理論的に考えれば、次数中心性が高い人がいて、その人の活動がほとんど変わらず、そのほかの人が活動を90%減らして、平均で80%人の接触が減ったとしても、実際の感染拡大はあまり落ちません。次数中心性が高い人同士で感染が広がると、感染爆発になります。逆に言えば、クラスター対策班は、今後「大きなクラスター=次数中心性が高い人の実社会での接触を極力減らす」ことを活動の中心にすべきなのかもしれません。
そもそも、8割、というのは、疫学理論的には「統計的に平均」を前提にた数字です。その意味で言えば、もともと1日に五人しか合わない人が一人に絞っても、ほとんど意味がない。1000人の人が200人になるのなら意味がありますが、200人という「クラスター」は存在するので、ここが感染拡大の「核」になってしまいます。これは、西浦先生のいう「8割」の意味ではないと拝察します。そのように考えれば、「あなたが会話をする人の数を1日10人以下にして下さい」という方が、そして、それを国民全員が守ることが、西浦先生の意図だと考えるのです。(この意味では、接客業はほとんど成立しないことになります、、、)。
感染拡大防止に向かって、皆さんで「1日10人キャンペーン」を始めませんか?
# SIR(もしくはSIER)モデルを少し変形すると、最大何人に会えるか、を計算することができます。その方法で計算してみて欲しいと思っています。
#ついで。無風凧が解析に用いた多変数のロトカヴォルテラ方程式に基づくモデルは、疫学でいうSEIRモデルに、以下の項を加えたモデルのようです。無風凧は寡聞にしてSIRモデルを存じ上げずに、変形LV方程式を作りました。
1)発症前感染者の感染拡大項 2)軽症者と重症者の区別(これにより、院内感染が想定できる) 3)重篤化率と死亡率
4)回復後の再陽性化を考慮(一定割合でSに戻す)
| 固定リンク
コメント