初心者について考える
大学入学試験の面接をしていると、「初心者とは?」「素人とは?」と時々思います。特に、すごく利発な受験生にあった後は。
大学を受験する、という意味では、ある程度の「基礎」、、、例えば、アルファベットが読めない人はいないでしょうし、足し算ができない理科系の受験者はいないでしょう。
でも。例えば物理の場合。
大学にはいって、力学の最初から、勉強をし直すわけです。一般的には質点系の力学、電磁気学、熱力学でしょうか。で、一年生の後半くらいから量子力学や統計力学を勉強する、なんて人が多いでしょう。解析力学を学ぶと、最初の頃とは力学の表示法も変わってきたりします。
高校生から見ると、大学の勉強は「初心者」ではないわけですが、研究者から見たら、解析力学なんては、入門の入り口の手前、という方もいらっしゃるかもしれません。少なくとも、縦横無尽に使うことができなければ、理論物理の世界ではスタートラインにも立つことができない。
ちょっと具体的に書くと、ランダウ=リフシッツの物理教程は、ランダウによると初心者向け。でも、これを全部理解していなければ初心者を卒業できないとすると、日本人の中に「物理の初心者卒業」という人は本当に一握りになってしまいます(無風凧は少なくとも無理です)。
趣味の世界も同じかなあ、、、ピアノで考えて。ハノンを全部「きちんと」弾けるようになるのは随分大変だと思います。でも、ハノンが弾けてやっと初心者、「ピアニストへの入り口の手前」だと感じます。でも、そこまでいかなくても、アラベスクやエリーゼの為にを弾いて楽しむ人も沢山のいて、それはそれで楽しい時間を過ごすことができます。
詰将棋に関していえば、もともと「プロ」は存在しないのですが、明らかに「達人」と無風凧が思う方はいらっしゃります。でも、その方の作品が全て「素晴らしい」かといえば、そうでない場合もあるし、、、好き嫌いや好みにも関係するのでしょうかね。まあ、無風凧が永遠に初心者であると自覚していることは事実ですけど。
昨日発表になった「新型コロナウイルス の専門者会議」の会見。「複雑系」の立場からみると、随分「甘いなあ」と感じます。でも、感染症学の「専門家」の意見なので、世の中的には、無風凧の分析結果の方が、「素人」なんでしょうねえ、、、それでも、やはり昨日の発表には「訊きたいこと」が山ほどあります。
このように考えると。人は皆、永遠の初心者であると同時に、その道の識者なのかもしれません。
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