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パワハラは陰湿化する

昨日(12/23)、厚生労働省は、職場でのパワーハラスメント防止に向け、具体的な行為や発言を示した指針を正式に決定しました(こちらなど参照)。

もう何度も無風凧は主張していることですが、、、このような「指針の決め方」は、パワハラ(=犯罪)を陰湿化・巧妙化するだけです。言い換えれば、あまり悪質でないパワハラは少なくなりますが、その分、「今以上に悪質な」パワハラが増えます。簡単に書けば、

 程度1のパワハラ100回 → 程度100のパワハラ1回

になると断言できます。今日はそのロジックについて少し書いて見ましょう。

パワハラという言葉が産まれる前にはパワハラなんて存在しなかった」という文章と「パワハラという言葉が産まれる前はパワハラは日常茶飯事だった」という文章、同じ事象を刺している、と言って違和感ありますか?このブログの愛読者の皆様の多くは違和感が無いと思います。

この後ろの文章を、少し書き換えて見ましょう。

「重度パワハラという言葉が産まれる前は、普通のパワハラしかなかった。」

これもわかってもらえると思います。

「Aという行為がパワハラと定義されると、Aでない行為はパワハラではなくなる」

これも、論理的に正しい。ここから少し面倒臭くなります。

「Mr.Xが定義する Aという行為AXと、Mr.Yが定義するAという行為AYは、同一ではない。つまり、AX≠AY」

同様に、N人いれば、Aという行為はN通りの解釈ができます。

ここが大切なところですが、パワハラ加害者のXさんとパワハラ被害者のYさんは当然Aの解釈が違います。同様に、「第三者であるZさん」もXさんYさんとは異なる解釈であると同時に、Zさんが複数人であればあるほど、Aという行為は、Xさんの考えるパワハラとYさんの考えるパワハラの中間に位置します(大数の法則)。

Xさんが、この大数の法則を前提にA’というパワハラをしたら、、、第三者的にはパワハラに相当しないにも関わらずYさんにとってはこれまでよりも程度の酷いパワハラを受けることになります。

よって、今回の指針発表のようなパワハラ対策指針は、結果として程度の酷いパワハラを生む、つまり陰湿化巧妙化を生むことになります。

このロジックはとっても汎用的で、「人」という生き物の存在が持つ、本質的な矛盾といってよいでしょう。

この世から、いじめはなくならない。少し暗澹たる気持ちになりますが、これが事実です、、、ですが、それでもいじめ対策は必要だし、行わなくてはならない、と無風凧も思います。これも、人という生き物の持つ、本質的矛盾の一つです。

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