組織戦略の考え方(沼上幹:ちくま新書)
「膿を出し切って組織を立て直していく」
これは、安倍首相主催の「桜を見る会」における安倍首相の発言です。同じような、、、言葉を思い出します。それは、
「暴力問題の根絶が第一課題と強く認識している。理事の結束を固め、危機感とスピード感を持って取り組む」 (相撲協会:八角理事長)
「安全第一、法令順守をさらに徹底する」(日産:西川社長)
そのほか、神戸製鋼、三菱マテリアル、東レ、JR西日本、麻生財務大臣、、、組織腐敗、つまり組織に於ける不正や不祥事が発生するたびに、例外なく同様の発言がなされます。それは、
「コンプライアンス遵守」「ルールの徹底・厳罰化」「組織改革」
です。官僚制度に対する安倍首相の言葉も、これらを総括したようなものです。
組織論ではこのような組織腐敗のメカニズムを解析しています。そして、その内容をきちんと理解している人にとって、この3つのKeyWord(「コンプライアンス遵守」「ルールの徹底・厳罰化」「組織改革」 )だけでは何もなしえないことを知っています。
無風凧の書棚に、「組織戦略の考え方(沼上幹、ちくま新書、2003年)」という本があります。組織論の「備忘録的なハンドブック」としてはなかなか良く書けていて、初学者にも判り易い本です。
この「組織戦略の考え方」の第9章(pp178-203)を読でみましょう。腐敗のメカニズムが判ります。そして、三つのKeyWordが無力だということを。
勿論、正常化されることが困難であることも組織論は教えてくれます。一朝一夕には不可能です。ですが、組織の長は、せめて「もう少しだけ実現可能性を感じさせる内容」を明示した発言をしてほしいものです。
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