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経済学を志す物理学者へ

このGW、書棚の片づけをしながら、昔の資料や論文など、懐かしく「復習」していました(おかげで、片付けが遅れる、、、というより、前より散らかってしまった、とも言えます)。

昔から、幾多の先人が気が付いていて、勿論無風凧も気が付いていることですが、改めて「腑に落ちた」ことがありますので、今日はその話題。

経済学と物理学の違い、何処にあるのか。特に、「理論経済学」と「理論物理学」と言った方が無風凧の主張は分かりやすくなります。今回は、物理学をある程度修めた人が理論経済学を学ぶ時の「罠」という視点でまとめてみます。

理論物理学は、、、初学者は、何といっても、ニュートンの方程式からスタートします。F=ma です。この方程式。「古典物理学」の範囲では、不動の絶対方程式です。幾多の実験によって支持されています。(注:量子論や相対論まで拡張すれば、「絶対」ではないのですが、それでも、近似や極限操作を行うことにより、古典解としてニュートン方程式は成立します。)

もう一つ、物理学者の思考のとしては、開放系と実験室系という、万国共通の「思考実験」のルールがあります。色々な意味で「理想状態」を想定した場合の「実験室系」と、現実の「開放系」。実験室系と開放系の「違い」は最初に定義されます。これも、物理学者なら「絶対のルール」です。

このように、物理学、特に理論物理学の思考は、ある意味で公理主義的な「絶対の方程式(ルール)」が存在するわけです(この2つに限らず、例えば、摩擦の方程式や、気体の状態方程式、流体方程式、、、などなど、同様に考えることが出来ます)。

では、ここで経済学を考えてみましょう。ほとんどの経済学の教科書の一ページ目には、「価格決定論」=「需要と供給」の関係、、、アダム=スミスの「資本論」に出ている「見えざる手」が書かれています。これは、経済学の世界では「古典」です。では、この「価格決定論」は、ニュートンの方程式のような位置づけでしょうか? 否。理想論であり、例外も沢山ある。それに、アダム=スミスが生きていた時代は、現在のような資本主義社会でく、自由経済でもないですから、そもそも「前提」が異なっているのです。。。が、「古典」は「古典」です。

ここで、現代の物理学者が経済学を学ぶ時は、「見えざる手」=「古典」をニュートン方程式の位置づけで理解してしまう。これは、物理学者が経済学を学ぶ時に必ず陥ると思われる「罠」だと言えましょう。え、無風凧だけだろう、って?そうかなあ。

よくよく考えてみると、経済学は、常にそれ以前の理論(絶対のルール)を「否定」する形で進化してきていますから、古典からの「拡張」ではないわけです。もっと言えば(言い過ぎ覚悟ですが)「最新の経済学」から勉強すれば良く、古典は不要です。国語の勉強で、まずは現代文から入って、そして古文や漢文を勉強するように、まずは最新の経済フレームワーク、から入った方が、理解しやすいと言えるのです(注: あくまで極論です)。

「物理学者の為の経済学入門」というタイトルの教科書、書きたくなってきました。

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