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ハイゼンベルク描像、シュレディンガー描像、相互作用描像(経済学を志す物理学者へ2)

先日の続き(コチラ 参照)。

経済学には、力学におけるニュートンの方程式や電磁気学におけるMaxwellの方程式、量子力学のScheroedinger方程式のような、「絶対的」な方程式群は存在していない、と断言してよいと思っています。勿論、ある意味では極論ですけど。ここまでは前回の話。このような公理系が存在していないこと、を肝に銘じて方程式に接するだけで、経済学の理解はとてもスムーズになるでしょう。

今回は、もう一つ。この考え方になれると慣れると、経済学の理解がらくになる、という基本の考え方をご紹介。これは、政治や経営など、社会科学全般、と言っても良いでしょう。

それは、量子力学におけるハイゼンベルク描像、シュレディンガー描像、相互作用描像の関係を常に思い浮かべていること。

復習になりますが、観測期待値を<φ|A|φ>と記述したとして。ここで、Aに時間依存を持たせるのが、ハイゼンベルク描像、φに時間依存を持たせるのがシュレディンガー描像、Aとφにそして相互依存があるのが相互作用描像、と大きく分けることができます。

量子力学では、φは波動関数ですね。経済(社会科学)では、φを「民衆(民意)」だと思って下さい。Aは、量子力学では観測量/ハミルトニアンですが、経済学では、「真の値」というように拡張解釈しておきます。

一例を上げましょう。よく、景気 と言われます。景気は、今の社会情勢(経済情勢)をどのように感じているか、の「経営者の人気投票」みたいなものです。だから、

景気 = 本当の経済状態 | 経営者の感触>

というように理解するのです。株価もそうですね。

株価 = 会社の持っている実力 | 株式市場の人気>

のように考えれば、色々なものが見やすくなります。そして大切なことは、どの描像での議論をしているのか、を念頭において、資料の数字を見ることです。

このような考え方が出来るのは、物理学者だけ、ではないでしょうか。いつの日か、「経済学を学ぶにはまず物理学」と言う日が来るかもしれませんね。

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