大学の存在目的
原文:(大正七年十二月六日勅令第三百八十八号第一条、文部科学省HPより)
大学ハ国家ニ須要ナル学術ノ理論及応用ヲ教授シ並其ノ蘊奥ヲ攻究スルヲ以テ目的トシ兼テ人格ノ陶冶及国家思想ノ涵養ニ留意スヘキモノトス
現代表記:
大学は、国家に須要なる学術の理論と応用を教授し、並びに、その薀奥を攻究するを以て目的とし、兼ねて、人格の陶冶及び国家の思想の涵養に留意すべきものとす
現代語訳:
大学は、国家に とても必要な 学術の理論と応用を教授すること、学術の奥義を修めきわめることを目的とし、その上、人格の教育(=人間形成)およびに国家思想が無理なく浸透していく事(涵養)に留意すべきものであるとする。
意訳(by 無風凧):
大学は国家にとって必要な学術理論を教授することと、学術理論やその応用方法に関して(国として)研究してその頂点をめざすことを、目的とする。加えて、学生故人の人格形成、そして日本の国としての方向性(国家の考え方)を無理なく学生に広めていくこともその目的である。
長々書いてきましたが、これ(=大学令)が日本における「大学の目的の最初の定義」と言っても良いでしょう(もっとも、これ以前に帝国大学がありましたので、大学令が本当の意味で出発点とは言えないかもしれません)
その後昭和22年に旧教育基本法が制定されますが、旧法では大学に関する明示はなくて、平成18年の改定教育基本法で、その目的が改めて定義されます。
大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。(教育基本法第7条:平成18年12月22日法律第120号)
これらを読み比べてすぐに気がつく違いは。
国家思想が 社会の発展 という考え方に変化
しています。でもこれは、第二次世界対戦後の日本の民主化によるものが大きいでしょう。
このように大学令と教育基本法における「大学の目的」を見てみると、上述の「国家思想」を除くと、若干の言葉の違いはあるとしても、変わっていない、と言って良いと思います。
皆さん、如何お感じになりますか?続きは次回。
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