日本はメタボ
「名目3%以上の経済成長を目指します」。
これは自民党の政権公約、いわゆる「マニフェスト」からの抜粋です(マニフェスト は コチラ 参照)。年明け、この「経済再生」に関する動きが活発化してきました。国民の生活を「よくする」ことは、為政者の義務でしょうから、大いに応援したいと思います。
しかし、その前にちょっと考えて下さい。「経済成長」ってなんですか? GDP(国内総生産)の金額の増加で定義されます。では、GDPってなんですか? 簡単にいえば、一年間に国内で生産された「付加価値の総和」ってことになるのですが、これは、「市場で取り引きされたもの」に限ります。(くわしくは、wiki のページを見るとか、経済の教科書を読むとかしてください)。つまり、経済成長というのは、全て「お金(金融)」で表されるものだけで量られている指標なのです。このお金の「流通量を3%増やしましょう」というのが、マニフェストに書かれていることなのです。
ここで、「お金の流通量ってなに?」をもう少し詳しく考えてみます。「お金は経済の血液」という言い方をするので、人間の体に例をとりながら説明していきます。
「3%の経済成長」を人間の体で説明すれば、
- 血液の量を3%増やす
- 心拍数を3%増やす
のどちらかを実現することです。あれあれ?と思いませんか? 血液の量を増やすのは、薬物を使ってはいないとはいうものの一種のドーピングです。短距離走の選手が、事前に採取しておいた自分の血液をレース直前に自分に戻すようなもの。また、心拍数が増えると言うのは、スポーツをしているときのように、普通の状態じゃ無い場合。もし、普段から心拍数が高くなっているのなら、成人病、、、いわゆる「メタボ」、、、を警戒することに成ります。つまり、名目GDP3%増、というのは、みずからメタボ体質を目指している、と言えるのです
人間の体で言うなら、コレステロールがさがりγGTPが下がり、、さらさらな血液になり、というのが健康に成っていくことだと考えられるのですが、上記の例のように3%増えると言うこととは全く関係ないどころか、逆効果であるということが分ります。では、さらさら血液、を「経済再生」の言葉で言えばどういえばよいのでしょうか?
ここでちょっと考えてみてください。皆さんに幸せってどんなときに感じますか? 子供の成長を見て幸せになりませんか? 新しい工夫で昨日よりも珈琲が美味しく淹れられたら嬉しくありませんか?例えば、高田敏子さんの「月曜日の詩集」にある「しあわせ」という詩を読んでみてください。きっと、「ああ、幸せってこんなものなんだろうな、、、」と思う方、多いでしょう。これらは、決してお金に変えることはできない、でも「よい」生活ですよね。
さらさら血液の国民の幸せって、こういうことを蔑ろのしてはいけないと無風凧は思うのです。いや、こういうことを土台にして構築していって欲しい。だから言えば、「GDP3%」という目標を置いた時点で、本当の幸せ が見えなくなっている、と思ってしまうのです。
お金軸以外の幸せ、、、日本「経済」のメタボ体質(メタボ志向)からの脱却、、、を、無風凧は常に考えています。
# 「経済」の語源は「経国済民(経世済民)」。決して利潤追求ではないのです。
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