好きな音楽2012年10月&ランキングについて考える(番外編)
月末の水曜日、ということで「ランキングについて考える」と「好きな音楽」の合併記事にします。
無風凧は、現代音楽(Contemporary Music)も大好き。頻繁に現代音楽の演奏会に通っていました。ここでいう現代音楽は東京藝術大学の作曲科で書くような音楽です。
10月26日、日本音楽コンクール・作曲部門の本選演奏会が行われました。音コンは、若手の登竜門として知られているコンクール。将来の大作曲家の卵が集います。そして本選演奏会は、「譜面審査」を通過した作品を、演奏会形式で実際に演奏して、審査するためのものです(コンサートとして公開されています)。コンクールですから、当然のように「順位=ランキング」がつきます。無風凧も久しぶりに本選演奏会に足を運び、次世代の作曲家の元気な姿を楽しんできました。
さて。音コンは10年前から「岩谷賞」という賞が設定されています。これは、「本選演奏会の聴衆投票によって決められる」賞です。つまり、人気投票=ランキングですね。
ではまず、Question。過去10回の作曲部門の岩谷賞(聴衆賞)の中で、審査の1位と聴衆賞が一致したのが何度あると思われますか?
実は4回しかないんです。つまり、音コンの審査員の評価軸と、聴衆の評価軸は相関が高くない、と言えそうです。
では、Question2。女性作曲家が岩谷賞を受賞したのは、何人でしょう?
答えは女性は7人です。ちなみに、一位は男性7人、女性4人(同位1位が一回あるため、11人います)。(さらに補足: エントリーした作曲家は延べ数で 男性=35、女性=19 。この比率と一位獲得者の比率は一致しています)。統計的には、 女性の方が岩谷賞を受賞しやすい ことを示しています。
ランキング仮説的には、2つの立場で解釈することができます。
[1] PR(原始ランキング)を審査結果、SR(社会的ランキング)を岩谷賞とすれば、PR≠SRの一例
[2] PRが原理的にSRに頼らざるを得ない場合は、SRの母集団(=集合的な評価軸)によってPRが異なることの一例。
2012年の本選演奏会は、一位も岩谷賞も女性(平川加恵さん)。平川さん、おめでとうございます。これからも頑張って良い曲を書いてくださいね。
# 統計的な話をしているのであって、個々の作品評には触れていません。
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