ランキングについて考える(29)
iTunesUは、今、ホットな話題なのでしょうか?匿名のメールでのご意見をいただきました。仮にK氏と呼ばせていただきます。
K氏の主張を一言で言えば、
「良いコンテンツ(講義)を作れば、ランキングはあがる。」
というもの。おっしゃるとおりであるべきだと思います。だから、学校の先生方には、良い講義をして欲しいし、良いコンテンツが世の中に広まって欲しいものだと、無風凧も思います。
でも、ここでちょっと考えて見ましょう。2点あります。
1.良いコンテンツの評価軸は何ですか?
2.それは「良いコンテンツだ」ということをどうやって、知らせますか?(どうやってラランキングに繋げますか?)
勘のよい方は、ここまででもう無風凧の主張はお分かりいただけると思います。
まず、何らかの評価軸(一軸)で講義の良し悪しを評価できると仮定します。というか、原始ランキングが必ず存在する、というのがランキング仮説の根本です。でも、その軸の作り方はわからないわけです。クラシック音楽などでは、例えばコンクール という「社会ランキング」を介する事によって擬似的に 原始ランキングを作り出す、という手法をとっています。このように、良いコンテンツは、軸を作ることが難しいわけです。だから、講義も同様。
加えて。例えば、書籍のベストセラーの例を持ち出すまでも無く、「良い本が売れる」とは限らない。売れる本は、社会ランキングが高いわけです。つまり、原始ランキングを社会ランキングに転化することには、王道は無いのです。今まで、幾多の「名作」が、誰も読まれることもなく埋もれて行ったか、、、それを考えると、上述のクラシック音楽の例では、コンクールは社会ランキング生成装置でもあるわけです。文学賞も同様でしょう。しかし、それらにはもれたけど、原始ランキングが高いコンテンツは存在するわけです。(このように、文学賞にも漏れた「名作」が世の中に出てくる確率は、本当に偶然の産物になります)。
ここで、iTunesUの トップコレクションの 働きを考えて見ましょう。もうお分かりですね。コンクール を行っているわけです。ただ、このコンクールは 社会ランキングしか生成していません(原始ランキングの軸を誰も作ってなくて、DL数が基本のランクだから)。そして、このコンクールにおけるランキングも、何度か書いてきていますが、自己成長機能を持っているわけです。
もう一度、K氏の主張にも戻ってみましょう。良いコンテンツって、K氏がが考えるほど簡単に定義できません。もし、K氏の視点で、というのであれば、それは、K氏の評価軸であって、主観です。客観ではありません(原始ランキングの要件の一つは、客観的であること)。
加えて。ランキングの自己成長性を切り崩すための方法がありません。上記文学賞の例で言うなら「偶然」に頼るしかないのです。もし、偶然に頼るのであれば、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」という戦略をとるほうが、利に叶っていると言えます。
無風凧は。
もちろん「先生達の納得する良いコンテンツを作って欲しい」と思っています。それがiTunesUみたいなところで無料で見ることが出来れば、こんなに良いことは無い。でも、そのランキングを上げるためには、「先生が良いと思うコンテンツを作るだけでは 不可能である」 と考えて、前回のような主張をしたのです。
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