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法律が日本をダメにしている?

法律家や会社法に詳しい方は、ちょっと遠慮していただくとして。

「あなたの会社の事業の目的は何ですか?」と訊かれたらなんと答えますか?

例として、バス会社の場合には、きっと「お客さまを、早く、安全に運ぶこと」などと答えるのではないでしょうか? ホテル業の場合は「お客様に快適な時間を過ごしてもらうこと」、予備校運営の場合は「学生に希望の大学に入ってもらい、夢のある将来をつくること」などと答える方が多いと思います。

では、会社の設立登記する場合を考えて見ます。上述の例で、新しいバス会社をつくることを考えて見ましょう。会社設立の定款に、必須事項として、事業目的を書かなくてはなりませんが、ここで事業目的として

「お客様を、早く、安全に運ぶこと」

と書くと、定款認証の時点でまず100%受理されないでしょう。「えっ?」と思いませんか?会社の登記の際は

「旅客業を行う。」「乗り合い自動車業を行う」

というような書き方をしなくては、申請が認可されないのです。近距離移動を早く、安全に行ってもらうことを目的として「バス業」をはじめようと思っている起業家の人がいたら、きっとこの時点でかなり「やる気」がそがれてしまいます。バス業は、その起業家にとっては手段に過ぎません。

上記は、まだ目的と手段が近い関係なので、既存ビジネスで言いかえが出来そうだから、やる気がそがれる、程度なんですが。仮に、

「孤独なお年寄りに生きがいを与えたい」

という目的を持った人が、「老人の生きがいビジネス」で起業しようとした場合、定款に書く事業目的はどうなるでしょうか?無風凧は専門家ではないので、よくはわかりませんが、おそらく、

「孤独なお年寄りに生きがいを与えることを目的とした業務」

と書くと、定款として認めてもらえない可能性が高いことだけは言えます。強引に、設立時には

「ヘルパー業」「訪問販売業(買い物代行業)」

などと書いたとしましょう。会社を立ち上げることはできますが、これだとその後に思いついて、例えば「コミュニティを作って俳句会を開く」などということが出来なくなってしまいます。。。定款変更が必要です。「本来の目的に最も近い事業」が、現行の会社法下では、行うことが出来ないのです。そして、新しいことを思いつくたびに、定款変更をせざるを得ない。

無風凧が何が言いたいか、というと。

「起業家にとっての事業目的は、会社法の事業目的とはかけ離れたものである」ということ。きっと、起業家、特に社会起業家にちかい方にとって、会社法における事業目的は「対価を得るであろう手段の羅列」に過ぎないのです。これら手段を網羅して記述することなんで、出来るわけがない。手段に対するアイデアは日々出てきますからね。あ?よく見ると、会社法って、目的と手段を間違えているんだ。「手段が目的になる」っていうのは、大企業病の一つの症状だけど、日本という国は法律の段階で既に「大企業病」?

会社法が変わってずいぶんたちましたが、旧法のときから問題視されていた「定款における事業目的」の項。起業家の「やる気を踏みにじる」ような内容を書かされるのが、今の日本の法律なのです。つまり、法律が起業家のやる気を殺ぐ。日本に元気が無い、と言われて久しいですが、上記のような些細にみえるところにも、その一因があるように思います。

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