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ランキングについて考える(17)

今日6月6日は、AKB48の総選挙発表日です。楽しみにしている方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか?

このAKB48の総選挙は「得票順で歌うメンバーを選抜し、歌う場所も得票順で決定する」というコンセプトで行われているものです(誤解があったらごめんなさい)。真ん中で歌う娘(センター)は、もっとも注目されますから、最高得票数の娘になります。得票順位、ということは言い換えればランキング ですから、今回から数回は、AKBの総選挙をネタに、ランキングについて考えてみましょう。

この「ランキングについて考える」シリーズでは、ランキングを PR(原始的ランキング)とSR(社会的ランキング)に大きく2分して定義しています。( CR=是正ランキング も用いますが、今回(第17回)では考えない)。

AKBの総選挙は、PRでしょうか? SRでしょうか?復習のために、PRとSRの定義をもう一度紹介すると(第一回参照)、

PR: ランキングの順位が、それ自身の状態を表すもの(原始的ランキング=Primitive Ranking)例: 身長、年齢、テストの点

SR: 回りからの評価により、順位が変動するもの社会的ランキング=Social Ranking)例: 視聴率、シェア、大学の序列

単純に考えれば、総選挙の順位=人気順 だと思うので、SRだと思います。

しかし。ここで総選挙の仕組みを少し調べてみましょう。票は、
A: ファンクラブ・モバイル会員など基本的に一人一票の部分
B: CD一枚に1票ついてくる部分
の2種類あります(もっとあるかもしれませんが、ここでは簡単のために2種類)。

A の結果であれば、SR であるといえるでしょう。しかし、問題はB。昨年行われた2011年の場合、CD売り上げによる投票数が68%を占めていたそうです(コチラ 参照)。つまりAよりもBの影響のほうが大きい。そして、CD に一票ついているなら、一般のファンは「自分のお気に入りの娘のランキングをあげる」ために、複数のCDを買って投票することができます(事実、そのような社会現象が起きていますね)。ということは、Bの部分に限って言えば、PR になっています!。

少し、言い方を変えれば、「投票権付きCDの売り上げに貢献することができたランキング」です。2012年は一人で1700枚を購入した方がいらっしゃるそうですが(出典不明)、選挙の結果は、人気ではなく 集金力 の指標となっています。ここで、集金力=売り上げランキングは、売り上げの「状態」をあらわしていますから、明らかにPRになっています。

ここで、少し社会学的に考察すると。実際の選挙も、一昔前までは 実弾を撒く という言い方をして「票を買う」ことができたといわれます。票の最大値は有権者数。お金をばら撒くのは原則として 被選挙人 or その講演会。このように考えると、普通の選挙で票を買う場合には、選挙では 被選挙人の財布の大きさ が測られます。 しかし、AKBの場合は票数の最大値はファン数ではなく、最初からファンの財布の大きさです。お金を使うのは、ファンそのものです。まとめれば、総選挙は メンバーに付いているファンの財布の大きさの総和  を測るイベントになっているといえます。これは、非常に面白い仕組みです。

人気投票というSR にみえて、実はPR の要素を含むAKB48の総選挙。色々考察しているともっと面白い現象が見えてきます。続きは次回。

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