ISR ・・・個人と社会の関係を考える
お笑い芸人「河本準一さん」と国会議員「片山さつきさん」が端緒で日本中の注目を浴びている生活保護問題。その後、ほかの芸人さんの家庭でも保護を受けているという報道が行われるなど、関心が高い記事のひとつです。
その生活保護をネタにして、今回は個人と社会の関係を考えてみたいと思います。まず、話しを前提を整理しておきます。
・ AさんとBさんは血族(親子)である。
・ Bさんは 客観的に十分経済力がある。
・ Aさんは 生活保護を申請し、認められた。
さて。ここで皆さんに質問です。
1) Aさんが生活保護を申請することは 法律違反 でしょうか?
少なくも、申請は現行法上では法律違反ではありません。
2) Bさんが扶養しないことは法律違反でしょうか?
実は、法律違反ではありません。生活保護法では「生活保護申請があった場合、扶養の可能性を扶養義務者に確認すること」と定められており、この決定に違反しているのであれば法律違反ですが、今回の例ではそれはありません。
3) だれが悪かった(悪いことをした)のでしょうか?
手続き的に見れば、社会保険事務所 の判断ミス ということになります。つまり、役所(社会保険事務所)が認めたことが騒動の原因 です。
4) この騒動で責任を取るべき人は?
もし、間違えた人が責任を取る、というルールであるなら、役所が一番に責任を取らなくてはなりません。(責任の取り方、に関してはここでは割愛します)
5) 実際、世論的に攻められているのは誰でしょうか?
言わずもがな、ではありますがBさんです。世論も役所も一緒になってBさんの責任を追及しているように思います(報道だけでは真実はわかりませんけど)。
このように、「法律的には何も悪いことをしていないのに責任を追求される」という事実が浮かび上がってきます。「日本は法治国家なのに、法律以外で縛られるって、なんだか変」と思いませんか?
このような問題は、倫理の問題、といえます。一昔前、船場吉兆の「料理使いまわし事件」などで、CSR=企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility) として取り上げられました。法律違反よりももっと怖い「倫理違反」です。
今回の河本さんの例は、企業ではなく個人。その意味では、 ISR=個人の社会的責任(Individual Social Responsibility)。個人と社会の倫理的関係において、責任が追及されているのです。その追求の前には、法律も形無し、になってしまいます。ISR の立場で、自分と社会の関係を見直してみませんか?
注: CSRからCSRへ (Cooporate → Civil) として、「次世代のCSRは 市民の社会的責任」 としている記事を読んだことがありますが、ここではもっと厳密に使いたいという意思をもって ISR という言葉を提案させていただきました。
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