好きな音楽2012年6月
今月は、何と言っても、Rhapsody in Blueだ。
1924年のガーシュイン自身の演奏による録音をはじめ6種類の演奏を聴き比べたし、手書き譜面(マニュスクリプト)、現行オケ版スコア、そして2台ピアノ版スコアを、念入りに見比べたのだから。
作曲者の手による改良過程も見ることができた。演奏が時代によって変化する様もかなり面白いと感じた。しかし、それ以上に無風凧が発見したことがある。
それは、演奏方法についてであり、より詳しく言えば「マイク(電気拡声)の使い方」に関してである。
現行版スコアで言うなら7ページ目。練習番号「5」のバスクラリネット。昔の録音のバスクラは、ゾクゾクする程魅力的だ。現代の録音の方が平凡に感じる。なぜだか、考えてみると、昔の録音の方が、相対的に音量が大きいのである。え?バスクラの音が大きい?音域も低いし、元々そんなに大きな音が出る楽器じゃない。そう考えると、不自然に大きい。でも、魅力的なのだ。。。
なぜだろう?と色々考えて、「そうか。マイクだ!」と気が付く。 音量が小さいバスクラリネットが目立つ為には、生音以外の手法が必要である。昔のバスクラ奏者は、きっと、マイクの真ん前に行って演奏・録音したのであろう。そのためか、無理に大きな音を出すための力みも無く、とてもよい仕上がりだ。
無風凧は、元来マイクでの拡声は嫌いであった、、、今でも、基本的には電気拡声に頼らない演奏を尊重したい。しかし、作曲者の意図が大きな音量であり、マイクがそれを実現する手段であるとするのなら、マイク有り演奏は必須といえる。それは、演奏会やライヴ、そして録音を問わずに。 ガーシュインの本意がどこにあったかは、今となっては推し量るしかないが、少なくとも作曲家自身が参加している録音である。意図を大きく外しているとは考えられない。とすれば、上記のバスクラリネットは、マイクで拡声すべきだろうし、無風凧的にも、その方が良い曲に思う。
こういう経緯で、ラプソディーインブルーは、無風凧が生音至上主義から「マイクも場合によってはアリ」に進化するキッカケになった。
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