ゴミか宝か?
無風凧の机の片隅に、一本のテープが入っています。これは、20年ほど前の録音で、無風凧の演奏が入っています。無風凧にとっては、思い出の一本で宝物。でも今は、もう、聴くことはできません。というのは、無風凧が今、テープ再生機を持っていないから。そういえば、昔持っていたレコードも、捨てられずに今でも持っていますが、すでに聞くことはできませんし、修士時代の研究で作ったビデオテープ(VHS)も見ることができません。
先日、ご高齢の音楽家から、大量のレコードの処理の相談を受けました。その方も、
「今はレコードの時代じゃないけど、でも捨てられない。資料としても今はここにしかない録音があるから。」
と話していらっしゃいました。結局、図書館をはじめとして、どこも引き取ってくれず、ゴミとしての処分、を勧められたそうです。
レコードから、テープ、CD、MDと続いて今はMP3プレーヤーの時代。映像だって昔の8mm、16mmが今は、ブルーレイの時代。過去のものは、どんどん使えなく なってしまいます。この 使えなくなったもの(メディア) は、ゴミでしょうか?それとも宝物?
これらは、技術革新の結果 とよく言われます。技術革新といえば聞こえはよいのですが、文化的には何も変わっていないとも言えます。MP3プレーヤーで聴くのは今でも音楽だし、ブルーレイでは映画を見ます。いえ、過去のメディア(資産)が今は使えない、という意味で 文化的には後退している、 と言ってもよいのかもしれません。加えて言えば、人が感動するのは、演奏であり、映画であり、舞台であり、、、これは長い間変わっていません。美術革新はほとんどおきていないのです!
# 念の為: 演奏表現などの革新で、新しい感動は生み出されていますが、これとは別の次元の話です。
確かに、技術革新でメディアが変わって 音楽も映画も手軽に安価に楽しむことができるようになりました。この恩恵ははかりしれませ。しかし、ゴミ と言われてしまった大量の宝物(ご先祖様)があります。 日本のものづくりの衰退は、忘れ去られようとしているご先祖様 の祟り(タタリ)なのかもしれません。
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