科学の限界
最近、関東にM7級地震が来る、というニュースが新聞・ネットをにぎわした。
京都大学は、5年以内に28%(コチラ 参照)、東大は 4年以内70%(コチラ 参照)という具合に予測している。どちらの記事も、「地震に備えて対策を」という意図で書かれているとともに、「悪戯に慌てないで欲しい」、という意図であろう。
しかし。この数字が、一般に降りてきたときにはちょっと違う意味で取られてしまったようだ。いわく「どちらが正しいのか」。カフェでの話を横聴きすると、「東大が正しいから地震がくる」「いや、京都によれば来ない」という論争にすり変わっている。しかし、地震予測の実際は、そういう話ではない。
ここで、「科学の方法(中谷宇吉郎、岩波新書)」を思い出す。その第一章は「科学の限界」について記述されてる。その主張にしたがって、地震予測を考えてみると。
まだ、地震のメカニズムは解明されていない。科学による、定説が出来ていない。再現性を求めて、科学的に研究されているのが、今の地震メカニズムである。今は、「統計処理」によって、例外の無い「科学的な説明」を探している段階である。今回の発表は、お互いの「仮説=現在の研究成果」に従った予測値を出しているのである。
統計には、「例外」も存在する。だから、3年後にかりに地震が起きたとしても、どちらが正しい、という決着がつくものではない。その地震により「統計の一データが増え」て、より「科学的な理論確立」に一歩近づいていくに過ぎない。
これが科学の限界なのである。
とはいえ。地震に対する備えをすることの重要性は、些かも減じるものではないから、そのことをもう一度、記しておこう。
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