自炊考
最近。
「自炊」という言葉を良く聞くようになった。ただ、ここで言う自炊は、「自分で炊飯する」という意味ではなく、「書籍を 自分でスキャナで読み込んで電子書籍化する」 ことを指している。
簡単に言えば、
1) 製本されている本を全部バラす。
2) スキャナで自動読み込み。
3) PDF化して、電子書籍端末(iPadなど)で読む。
というもの。無風凧も、早速やってみたことは、言うまでもない。
当初は、「せっかく製本されているものを総て裁断してバラバラにする」、という心理的障壁を乗り越え難くて、自炊否定派だったのだが、最近は「自炊も悪くないかも」と思い始めている。少なくとも、30冊の専門書がiPadに入っているのはなんとなく安心する。
加えて。
自炊版の電子書籍は、ある意味ではもともと「電子書籍」として創られたものよりも読みやすいような気がする。特に、EPUBタイプのものよりは、自炊が良いように思う。
EPUBなどの電子書籍の場合は、検索性も上がるし、文字の大きさが可変で「老眼対策」しやすいし、、、と良いことばかりのように思っていたのだが、自炊の方が読みやすい(少なくとも今は)。
色々理由を考えて思い当たったのは、
レイアウトが違う
ことである。 紙の書籍の場合は、文字送り・行間・余白・フォント種類・紙の色 などなどを、全部、編集者が編集して、最適化している。小説、ドキュメンタリー、哲学書、数学、、、其々に異なっている。それに対して、電子書籍は「好きなフォントを使ってね」「好きな大きさにしてね」となっている、、、が、逆に言えば「読者が決めなくてはならない」。そして、それがなかなか「最適」なものにならない。だから、結果として「読みにくい」ように感じるのであろう。
これにより、本の読みやすさの分野ではまだ 人力=アナログ が必要である、と結論するのは早計であろうか?
iPadの上陸で電子書籍元年と呼ばれた2010年から、すでに2年。今回の電子書籍ブームは本物だと思っているが、アナログの世界は、こんなところにも残っている。
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