先週、仕事の合間を縫って丸の内芸大アーツイヴェントの「金曜日のピアニスト」という演奏会を聴きました。丸ビルの一角で、シュトライヒャーのピアノでの演奏会。丸の内でお仕事をされている方4人と芸大の渡辺副学長が弾かれました。
写真は、その1871年製造のシュトライヒャー。この写真だけでは違いは判りにくいですが、現代のピアノ(モダンピアノ)と呼ばれるものより、一つ前の世代のピアノです。モダンピアノに比べて、音量が小さいこと、高音・中音・低音で音質が違うこと、などに特徴があります。ハンマーアクションも違いますし、叩く弦の数も違います。でも、BeethovenやBrahmsの時代のピアノです。
最初のOLさんは、Schumannの「フモレスケ」からの抜粋でした。会場がオープンスペースだったことともあり、繊細な音が時々環境雑音に隠れてしまったことが少し残念。でもおそらく、Schumannはこの音を想定して曲を書いたのだろうなあ、、、と思わせるこの日一番雰囲気たっぷりの演奏で満足。
続いての方はLisztの愛の夢3番。鍵盤の沈みの「薄い(少ない)」このタイプのピアノで演奏するのは、慣れないと大変!な一曲だったと思います。解説によると、4名の方はそれぞれ30分しかこのピアノでの練習をしていないとか、、、大変なご苦労です。(かくいう無風凧は、2001年にフィンランドの TurkuにあるSibelius Museoで、ピアノフォルテを数種類弾いたことがあるのです、、、シュトライヒャー作では無かったと思いますけど。ちなみに、Sibelius Museoは鍵盤楽器の歴史館みたいなところがあり、当時は結構自由に叩くことができました。)
丸の内ピアニスト唯一の男性は、BrahmsのOp118の間奏曲。おそらくではありますが、今回展示されているシュトライヒャーと同型のピアノで作曲されたのではないかと思います(Brahmsの家のピアノと同型だから)。そう思うと、ピアノ協奏曲2番を作曲してたBrahmsの頭の中では、こういう音がなっていたのだろうなあ、、、と(ついでに書けば、今の演奏はいずれもスケールが大きすぎます)。
丸の内演奏家最後の方はTchaikovskyの四季から10月11月。丁度今の時期、、、なんですが、ロシアの10月11月です。日本よりは格段に寒いはず!でも、丁度今の時期の音楽に聴こえたのは、シュトライヒャーの表現力でしょうか。
最後に控えしは、芸大副学長渡辺教授。いきなりBeethoven 月光のソナタです。渡辺先生も古楽器が専門ではないので、古楽器用の解釈をされたのでしょうか?かなり斬新(という表現でよいのでしょうか?)な演奏で、驚きの連続でした。アンコールの Mozart トルコマーチもしかり。渡辺先生ですらあれだけ悪戦苦闘されていたのだ、と思うと、丸の内Pianist4名の方には、もう一度拍手を送りたくなりました。
シュトライヒャーの音を聴きたくて、打ち合わせの予定時間を繰り下げて貰い、しかも場所も丸の内にしてもらい、、、それだけの価値のある時間を過ごすことができました。
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