10月11日、「あから2010」 というコンピュータ・システムと 清水市代女流王将が対戦し、あから2010 が見事に勝利を収めました。あからの開発担当の松原先生をはじめ、関係の方々へのお祝いの言葉と「お疲れ様」を贈ります。
女流とはいえ、プロ と呼ばれる人に対して、コンピュータが勝ったということは大きな事件です。気の早い人は、すぐに「いつ名人に勝てるようになるのか?」ということに興味がいくでしょう。
2つの方法で考えてみます。
一つ目は、「将棋の場面の数が有限である」、という仮定を根拠に考えてみます。今回の「あから」は将棋の場面の数に近い数ということで付けられた名前ですが、将棋の総ての場面を数えあげると、約10の220乗 ということらしい。
これは何を意味しているか、というと、初期状態が決まれば、その局面が「勝ち」「負け」「引き分け」のどれかになることを、全探査で調べても、高々10^220通り以下であるということ。
仮に、現時点で、1秒間に10^0しか計算ができなくて、でも、年に2ケタづつ計算速度が速くなっていくとしたら、110年後には、1秒で全探査が可能になる。つまり、将棋の先手番か後手番かが決まった瞬間(1秒後)に、コンピュータは勝ちか負けかを知ることができるようになります!
二つめの方法は、今の清水女流の実力を奨励会初段。そして名人を10段としてましょう。つまり差が9段あります。一段つよくなるのに、100倍の計算が必要だとすれば(無限ということはあり得ないから、有限であれば、何倍でも構わないのですが)、その計算が可能になるまでの年数の9倍あれば、名人に勝てるようになります。100倍計算できるようになるのに1年だとすれば、9年後には名人とコンピュータは同等になります!
実は、上記の二つは、清水女流に勝ったから言えるのではなく、コンピュータを作った最初の時から約束されていることなのです。
ここで思い出した話。川合敏雄教授が書かれた「スーパーコンピュータの挑戦」という本があります。この本に、
「今より100倍速いコンピュータを100分の一の値段で作って100個並べたら、100万倍速い計算ができるようになったと言える」
とあったことを思い出します。今回の あから2010は、まさにこの方法で高速計算を可能にしたものだと言えます。
もしかしたら、たった今現在において、あから2010はマグレで勝ったにすぎず、実力は清水さんの方が上かもしれません。いや、きっと上なのでしょう。しかし、数年後、少なくとも今より○○倍速いコンピュータができる頃には、コンピュータが真に女流名人を凌駕する日が、そしてさらに××倍速くなって名人をも凌駕する日がくることは間違いがないことなのです。
(個人的な試算では、2020年に、コンピュータのトップは、A級と肩を並べると思います。。。これを阻止するには、蓮舫議員に頑張っていただき、「人間に勝つ必要があるんですか?」の一言の下、開発費を仕分けするしかないでしょう。)
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